Little AngelPretty devil
      〜ルイヒル年の差パラレル

    “ちょっとした閑話?”



 「こないだ情報バラエティの予告CMを見てたらよ、
  子供に“くそババァ!”って言わせれば子育ては成功って、
  とんでもねぇコメント言ってる学者せんせえがいてよ。」

大人ぶった物言いが多く、
実際の話、
子供とは思えぬほどに何かと詳しくて玄人はだしな坊やだが、
実は結構テレビっ子でもある、金髪金眼の子悪魔様。
単なる頭でっかちにとどまらず、
まだまだ軽く2倍の年齢差はあろう、
しかもオートバイ乗りという やんちゃなお兄さんたちを相手に、
少しも怯えず、むしろ向こうを怖がらせての、
鬼軍曹というおっかない役職を受け持つ、
賊学大“フリル・ド・リザード”へとお付き合いし。
今は春の交流戦のシーズンながら、平日は試合もないとあって、
ならばと、地道なサーキット・トレーニングを用意して差し上げたその上で、
50mシャトルランのスターターを担当していたのだが。
小一時間ほども続けたとあって、タイムの整理にと休憩を挟んだそのまんま、
別なコーナーで切り上げた総長さんが傍まで戻って来たのへ、
絞ったタオルを差し出しつつ、そんな話を振ってくる。

 「そりゃまた、随分と乱暴な話だな。」
 「だろ?」

自分が整理してもいいのだが、それではタメにならぬのでと、
新入生の主務たちに記録ファイルを丸投げし、
タブレットタイプのPCへ入力してみと、
まずはのレッスン1を指導中。
そんな傍らで、そちらは選手サイドの統率担当、
ご本人も先頭に立ってのあれこれと、
飛んだり跳ねたりを続けていた葉柱キャプテンが。
汗を拭き拭きインターバルを取っているのへ、
構え〜、こっち向け〜と、そんな話を持ちかけて、

 「どういう理屈かまではあいにくと見逃したんだけどサ。」
 「何だそりゃ。」

話半分にもなりゃしねぇじゃねぇかと、
男臭いお顔を苦笑でほころばせたルイさんだったのへ、

 「関心なかったし。」

けろりと言ってのけた坊やとしては、

 「ただ、それ聞いて思ったのが、
  そういやルイはあんまり口汚くはないなって。」

格闘技と同等とまで言われている激しいスポーツ、
アメフトボウラーなんだから、
シフトミスだの、相手方のラインに潰されたのだといった失態へは、
馬鹿野郎以上の荒い言葉もさすがに飛び交うが。
本当の稀に、喧嘩だガンの付け合いだという修羅場に立ったとして、
そんな相手へ

  ごるぁあぁっ!
  俺様へガンつけようたぁ上等じゃねぇか、
  こんのクソ野郎がよぉ!

なぞという、荒々しくも耳に汚い物言いをしているところを、
そういえば聞いたことがないなぁと思ったらしい妖一くんだったのへ、

 「まあ、ルイさんは迫力ある目付きしてっし。」
 「そうそう。」

周囲に集まっていた二回生以上、
高校時代からオートバイでもつるんでいるクチの面々の言いようへ。

 「そっか、目付きだけで十分喧嘩売れんのか。」

あんまり褒めてはないようなお言いようをした挙句、

 「舌が長いから咬んじまうのかと思った。」
 「〜〜〜〜。」

やっぱりなぁ、素直に“なぁんだ”では終わらねぇよなと、
坊やの言いようと、その即妙さに
ついつい ぷくくと吹き出しかけた仲間内なのまでも想定内だったものか。
スポーツドリンク片手に結構平然と言い返して来たのが、

 「くそババアをあの母ちゃんに言えると思うか。」
 「………だな。」

これにはさしもの子悪魔様も、
仰せの通りでございますと言わざるを得なかったりし。
華族出身とも聞くお嬢様だったとは思えないほど、
それはしっかと夫を支えて、
後援会への顔つなぎや地域の様々な活動へも眸を配り、
もう何期目だろうか、先代、先々代からという都議の地位、
今もなお揺るがせにしないままの、押しも押されもしない都議夫人。
権高に威張りくさることもなく、されど威容はなみなみとたたえ、
しょうもないチンピラなんぞ、眼力だけで玄関払いしたというおっかない伝説も、
数え切れないほどお持ちの女傑でいらっしゃり、

 「ルイんチのおばちゃんは例外だとして、
  そんでも“ばばあ”はよくないと思うけどなぁ。」

小首を傾げておれば、
女子マネさんがどうぞと差し出してくれた
まだ温かいシューストリングポテト。
わあvvありがとーと天使の笑顔で受け取った坊やには、
なるほど、女性に毒づくというのは、
天地が引っ繰り返ってもやれない愚行なのだろが、

 「でもなあ、
  そうやって口が荒い奴ってのは、
  案外と腹に含んでるもんはねぇ奴ばっかだからなぁ。」

 「? そうなんか?」

こちらは後から葉柱らを追っかけて来た組の、
一回生ラインの面々が、そんな言いようをつい零す。
坊やが乗って来たのへ、おおよと大きく頷くと、

 「確かに品はねぇかもだが、
  そういう奴だってのがいっそ判りやすいってもんでよ。」
 「そうそう、俺らなんてのがいい見本だ。」

手前みそだがと、わははと笑ったそこまではともかく、

 「表面にこやかで、行儀もよくて素行もよくてって奴ほど、
  陰で何やってるか判んねってことが多いじゃねぇか。」

 「あー、それは言えてっかなぁ。」

妙な方向へと話を振ったものだから、

 「ほれ、ルイも知ってる●●議員トコの三男坊、
  あいつ、週末ンなると風俗まで女買いに行くらしいしよ。」

ぺろっと恐ろしいことを口走った坊やだったのへ、
顔を揃えてた、一応は恐持てな男衆らが

  「●●議員って。」
  「…………。」

ピキィッと凍って声が出なくなったほど。


  「ちょっと待て、あすこの三男つったらまだ中三だろうが。」
  「だから おっかねぇんじゃんか。」(まったくだ)

  「それに、何でお前が ふふふ風俗の話を」
  「アンゼリカの萌ちゃんとか、みかどのさやかちゃんとか、
   メル友いっぱいいるもんよvv」(うらやましい)

  「素人に手ぇ出すよりはってことで、
   秘書がついててこっそり車で乗りつけて、
   童顔の○○ちゃんを貸し切って遊んでくんだと。」

  「いや、それ……って、お前。」

  「○○ちゃんが言うには
   そいつ子供のくせにゼツリンなんだって。」

  「…………………………。」(し〜〜〜ん)

  ……とばかりに、爆弾発言で場を凍らせといて、

  「でもさ、なんで夜遊びすっと、カーナビの地図の会社に入れんだ?」
  「…………妖一、それはゼンリン。」

絶対、ウケをねらっての言いようだろと思われかねないが、
実はこっちもまた素の発言だから困りもんな、
そんな坊やが制すチームが、
リーグ制覇したら、それはそれで問題かも知れん。(笑)







   〜Fine〜  12.05.14.


  *いやあの、ゼツリンとゼンリンて1文字違いだなぁと思って…。
   くだらん。(こらこら)


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